短編

□ふたり
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「わりい、遅くなった…」

息を切らして教室に入ると、窓際一番後ろの席に花井が見えた。

今日も昨日の続きをするはずだったのだが、急に委員会が入った阿部。
多分すぐに終わるから教室で待っていてくれ、そう花井に頼んだのが数時間前の出来事。

正直、もう帰っているかとも思ったのだが…。

「まったく、律儀だよな…」

メールでもメモでも残して帰ればよかったのに…。

小さなため息を吐いてから教室のドアをくぐる。
そして、後ろから花井に近づいた。

すると…その大きな背中からは、すーすーと小さな寝息が聞こえてきた。

「なんだよ、今日も寝てんのかよ…」

片腕を枕に、もう片方の腕を机にだらっとたらして、顔を外に向けながら花井は目を閉じていた。



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