短編

□春眠とテスト(上)
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「慎吾さんこれって…」

「……」

あれ?
さっきあれだけ文句言ってたのに、慎吾さんの瞼が今にも…。

「…慎吾さん、眠いんすか?」
「…え?いいや、眠くなんかねぇぞ…」

そう言いつつも、うつらうつらしているのだから説得力がない。

「慎吾さん眠いなら寝てもいいっすよ」
「いや、先輩としてそういうわけには…」

「俺がわかんないとこ出たら起こしますから」
「そ、そうか?でも和己が…」
「先輩にはなんとか言っておきますよ」

「じゃあ、お言葉に甘えて…」

最後の言葉を言い終わるか終わらないかで、慎吾の瞼は静かに閉じた。

あはは、本当に寝ちゃったよ…。

「先輩…疲れてんのかなー」

きっと先輩達だってテストがあるのに、わざわざ俺達に付き合ってくれてるんだよなー。
そう思うと、目の前で規則的な寝息をたてている先輩にも感謝の気持ちが湧いてくる。

「よし、やっぞ!」

ひとつ気合いを入れて、ぐっと拳に力を込めてから、やりかけの問題集にとりかかった。



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