短編
□春眠とテスト(上)
4ページ/8ページ
「じゃあ気を取り直して…迅やるか!」
「は、はい!」
先輩の声で少し目が覚めた俺は、自分のシャーペンを握ってやりかけの問題に目を走らせた。
「えーっとこれは…」
とりあえず悩む。
「あー、記号問題なんてのは全部イって書いとけ。大丈夫だから」
「じゃあ、こっちは…」
また悩む。
「そんなの、とりあえずing付けとけ」
…これ、教わってるって言えんのかな?
不安になった俺は、他の先輩に教わっている利央をちらっと盗み見た。
利央は、犬のようなキラキラした瞳で先輩の解説を聞いてる。
その解説がよっぽどわかりやすいのか何度も頷いていた。
そういえば…慎吾さん、さっきからほとんど解説してくれてない。
でも、慎吾さんだって一生懸命教えてくれているはずだ。
それに、自分が文句を言える立場ではない。
とりあえず、このわからない問題を聞こう。
そう思ってシャーペンを握り直し、また慎吾さんの方に向き直った。
*