短編

□春眠とテスト(上)
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「じゃあ気を取り直して…迅やるか!」
「は、はい!」

先輩の声で少し目が覚めた俺は、自分のシャーペンを握ってやりかけの問題に目を走らせた。

「えーっとこれは…」

とりあえず悩む。

「あー、記号問題なんてのは全部イって書いとけ。大丈夫だから」
「じゃあ、こっちは…」

また悩む。

「そんなの、とりあえずing付けとけ」

…これ、教わってるって言えんのかな?

不安になった俺は、他の先輩に教わっている利央をちらっと盗み見た。
利央は、犬のようなキラキラした瞳で先輩の解説を聞いてる。
その解説がよっぽどわかりやすいのか何度も頷いていた。

そういえば…慎吾さん、さっきからほとんど解説してくれてない。
でも、慎吾さんだって一生懸命教えてくれているはずだ。
それに、自分が文句を言える立場ではない。
とりあえず、このわからない問題を聞こう。
そう思ってシャーペンを握り直し、また慎吾さんの方に向き直った。



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