短編

□春眠とテスト(上)
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今日はテストの3日前。
さすがにこの頃になると部活も休みになり野球部恒例の勉強会が始まる。
本日は、面倒見の良い3年生が勉強を教えてくれる、普段勉強してないやつにとってはテストの点を左右するぐらい重要な日。

「お前、そんなに余裕ないよな?」
「はい…すみません」

なのに、俺は寝てたらしい。
せっかく先輩が教えてくれてるってのに。

「ったく、なんで俺がコンビニ行ってきたあの数分でこんなに熟睡できんだよ」

苦笑ぎみの慎吾さんは、さっき買ってきたであろうウーロン茶を一口飲むとそのペットボトルを机に置いた。

確か、慎吾さんが戻ってくるまでに問題を解いておかないといけなかったんだっけ。

なんだか記憶が曖昧だった。

「まあいいじゃねーか。とりあえず教えてやれよ慎吾」
「でも和己…寝てる余裕なんて…」
「途中でコンビニ行って来たお前も悪いだろー。ちゃんと後輩の面倒見てやれよ」
「ちぇー、和己も厳しいよな」
わざとらしい舌打ちをしながら、拗ねたように口をとがらせてみる。

「和さんが厳しいんじゃなくて、慎吾さんの締まりがなさすぎなんすよー」
「てめっ、先輩にむかってそれはねぇだろ」
そんな慎吾に向って、すかさず口を挟む利央。

「はいはい、なんでもいいからさっさとやれよー」
やはり、まとめるのは和己になるらしい。



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