短編

□次はお前に。
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それは、朝練も半分が終わったときのことだ。


三橋がチラチラと俺のこと見てくる。

いつもは、どっちかって言うと目を合わせないようにしている、ように見える三橋が、目を合わせてくる。

正直、かなりビビる。
で、それだけならまだしも、あいつは目が合うと、あれは本人にしてみれば笑顔なんだろうが、こう、音にすると「にやっ」ってかんじで笑ってくる。

あいつ、熱でもあんのか?

とりあえず、苦笑いになる俺。
苦笑いするのも当たり前だ。いつものあいつじゃ考えられないことだから。

そのくせ練習中には必要最低限の会話以外、一切俺と話さない。
俺が近くにいてもわざわざ遠くにいる花井や栄口に話しかける。


要するに、俺は三橋から避けられているのか?

これは新種の嫌がらせ?

「俺、さっきの投球練習なんかマズイことでも言ったのかな?」

思わず口からこぼれる言葉は、俺には似合わないようなセリフだった。

無意識で独り言ってる俺って、相当キモイな。

自分に対して苦笑している俺を知ってか知らずか、三橋の顔には、さっきの投球練習の時とは違って、笑顔が増えていった。

その笑顔が俺を不安にさせてるとも知らずに…。




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