短編

□次はお前に。
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練習が始まって少しした時だった。

「あいつの様子がおかしい」

あいつとはもちろん、あのキョドりまくってる三橋だ。

投球練習に入ったとき、俺はミットを構えながら、手のひらに吸い込まれてくるボールの違和感を感じた。

何球か受けてから、俺はマスクを外して三橋に駆け寄る。

「おい、三橋」

急に声をかけられて驚いた表情の三橋は、慌ててこちらに向き直った。

「な、何?」
「今日のお前、なんか変だぞ?」
「そ、そんなことない!いつもどおり!元気だよ!」
「元気とかそういう問題じゃねぇんだけど…」
「…?」

まあいいか。自分で平気だって言ってんだし。

「もう少し集中しろよ」
「う、うん」

一応、納得してマスクを付け直した。

いつものボールなのに、いつものグローブなのに、いつものミットなのに、やっぱり何かが違った。たぶん、三橋のモチベーションの問題だろうが、そういうことを管理するのもキャッチャーの役目だと自分は思っている。だから、この違和感の原因が分からないのが少し悔しかった。


その後も何十球かの投球練習をして、違和感を拭えないまま、全体の練習に戻った。




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