短編
□次はお前に。
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今日は学校がテスト期間で授業時間が短い。
当然、午後の部活も休みだ。
俺は、今日の昼飯のことを考えながら、朝のグラウンドに向かった。
白い息を吐きながらグラウンドに着くと、まだ薄暗い中を何人かの部員がトンボで整備する音が聞こえてきた。
「はよッス」
「はよー」
ボロい金網が音を立てて開く。
前には、到着したばかりの栄口が手を擦り合わせて暖をとっていた。
「今日も寒いなー」
そう言いながら、自分の指先に息を吹きかける栄口。
俺は、もう12月だし。と淡白な返事を返した。そうだねーなんてのんきな返事が返ってくる。これもいつもの朝の風景だ。
扉をくぐると、すでにほとんどの部員が集合していた。
いないのはあいつだけ。
「…お、はよ」
後ろから金網の音と共に小さな声が聞こえてきた。
三橋だ。
こいつはいつまでたっても寝坊の癖が抜けないらしい。
毎日ギリギリに到着。そして今日も遅刻寸前だった。
「おっす三橋。今日の朝飯は?」
「た、食べたよ!食べなきゃオレ、ちから出ないっ…」
元気に返事をする三橋。
いつも通りだ。いつもの朝の風景。
「おまえら早く着替えてこいよー」
キャプテンの声がとんできた。
「三橋、行くか」
「う、うん」
俺たちは小走りで部室の方へ向かった。
*