novel
□それは、純粋な“愛”
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赤い紅い掌で、世界を塞いで崩れるお前。
うわ言の様に呟く言葉は、
『ごめんなさい…』
『…ごめんなさい!』
――ごめんなさい。
立ち尽くオレは、ただ憮然とお前のその様を見下ろして、指の隙間から滴る赤い雫の行き先を見つめていた。
「ツナ…ツナ…」
呼んでもお前は答えてくれない。
ただ二人の間に在るものは、くすぶる戦火が火花を巻いて、夕陽の海にオレ達を突き落とした名残だけ…。
「ツナ、」
「…コロ、ネロ、…ッぅ!」
奪うように顔を覆うその両手をつかみ上げ、お前の瞳がオレをやっと捉えたと思った刹那には、揺らぐ色彩は瞼を固く塞ぎ込み、再び深く俯いた。
「ツナ、ツナ、何で泣くんだ、コラ?」
「っく、ぅ…ッ…」
嗚咽を零して、涙に暮れるツナに訳が解らず問うても、ツナは黙ったままで。
(オレはお前の声が聞きたいのに、)
(オレはお前の笑顔が見たいのに、)
(オレはお前に触れてもらいたいのに、)
――オレにはツナ、お前だけしかいらないのに…