☆常若の宮☆

□004.きのこ狩り
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次郎はイケメンなうえに優等生で優しい。そのため、多くの女子が彼に惚れたが、彼はまったく気づいていない。
彼にとっては、女の子達よりも幼なじみ達と遊んだり、ペットと遊ぶ方が楽しいからだ。
今日、次郎は親友である小四郎と、自宅の裏にある山にきのこ狩りに来ていた。
「小太郎と平六も連れてくればよかったのに」
「なんだか今日は小四郎と2人だけできのこ狩りに来たかったのですよ。まぁ、このきのこ達をお土産に、秘密基地で鍋パーティをしましょうか」
「そうだね!あ、これなんてどうかな?」
「おぉ!美味しそうですねぇ。おや?これは.!」
「え、うそでしょ!これってさぁ!」
「これは松茸ではないかな? ほらよく見てよ」
「本物だ!しかも3つもあるぞ!どうする、次郎?持って帰って大人たちに見せる?」
「天然物の松茸か、大人たちに見せたら、うまく言いくるめられて取られるのがオチですよ。ここは私に考えがあります。とりあえず秘密基地に隠しておきましょう」
「さすが、次郎!そうだね。それがいいよ!じゃ、これだけは、別の袋に詰めて基地の棚に置いておくね」
「お願いしますよー」
ふたりは一回帰宅することにした。
次郎は両親に松茸の料理方法を聞くことにした。
「お父さん、お母さん、ちょっと聞きたいことがあるのですが」
「なんだい、次郎?」
「実は今日、友達と裏山できのこ狩りをしていたのですが、そのきのこ達の中に松茸みたいなのがありました」
「なんだって!?」
「どうしましょう?松茸ってどう食べたらいいですか?」
「そうだね。炊き込みご飯、土瓶蒸し、軽く焼くのがいいんじゃないかな」
一方、小四郎の家でも、小四郎が父に聞いていた。
「ねぇ、お父さん、松茸ってどうやって食べるのが一番美味しいの?」
「ま、松茸か!」
「うん。今日、次郎ときのこ狩りに行ったら見つけたの!とっても大きくて美味しそうなの!でも本物かなぁ?」
「まぁ、どんなきのこでも、薄く切って軽く焼くのがいいんじゃないか」
「わかった!ありがとう」
その夜、ふたりは秘密基地で、情報を交換し、試しに一番小さなサイズの松茸を薄く切り、七輪で焼いて食べてみた。
松茸は、香ばしい香りとシャキッとした食感が美味しかった。
「なんか大人になった気分だね」
「そうですね」
これは、ある秋の日に起きた小さな出来事。

END.
2022/10/07
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