神宗一郎

□もう一度、恋を教えて
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騒がしいHR、外を見ていた。




「よっしじゃあこれでHR終わり!気をつけて帰れよ」


「先生もなーかわいーおくさん待ってんだろ」




そう男子たちにひやかされて




「大人をちゃかすんじゃない!」




そういいながら笑う顔が好きだった。

本当に、好きだった。


若くてかっこよくて当たり前のように生徒から人気で

あっという間に結婚して

情けないくらいにへこんで、誰にも言わなかった恋愛の後処理は

お決まりの断髪で済まされた


まだスースーとする首元を押さえていると




「落ちたよ」


「わ、ありがとう」



近くにいた神がHRのプリントを拾ってくれた



「あのさ」


「なに?」


「元気だしなね」


「え?」



そんなこと、誰にもいわれてなかったのに




「なんで?」


「うーん、なんでだろ」


「はは、なにそれ」



神っておとぼけキャラだっけ?なんて返すと



「髪」


「かみ?」


「キレイだったのにね」


「え、あー、うん」



やだ、なんか、すっごいみられてる?

誰にもばれずに終わった恋を見透かされそうで恥ずかしくなった



「もったいないなー」


「邪魔だったし、イメチェンかな」


「ちょっと悔しいかも」


「神、話かみ合ってないよ」



もー意味わかんない、なんていいながらはぐらかすように鞄を持ち上げると




「いいこと教えてあげよっか」


「え?」


「この世ってね男と女しかいないんだよ」


「は?」


「半分男で半分女。あ、だいたいね」




本当に意味がわかんない。

席を立ち上がろうとすると



「だからさ、また恋はできるよ」


「!」


「だって男いっぱいいるもん」



驚いて、椅子に座ったまま神をぽかんと見ていた



「なんで?」


「なんでだとおもう?」




なんで、神がそれをしっているの?



「ちゃかしてる?」


「ううん、ほだしてる」


「ああ、全然わかんない」


「え、わかんないの?じゃあね分かりやすく言うと」


「言うと?」



神が短くなった私の髪を手で梳きながら



「チャンスだと思っているよ」



そう、神が言った



ずっと、みてたからわかるんだ
(そんな君にボクも実は失恋中)

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