計画的彼氏、彼女。
□カレ、とカノジョ
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「…」
「…」
無表情で読み取れない顔をこちらに向ける神。
「え、っと」
なにか、なにか言わなくちゃと思うばかりで
言葉が続かない。
伝えたいことはいつもたくさんあるはずなのに
「なつかしいな」
「…え?」
「ここ、最近来てなかった」
「あぁ」
定番の体育館裏
ここしか静かなところを知らなかったのだけれど
思えば、ここがいろんなことの始まりだった。
「ごめんね」
「なにが?」
「好きになって、ごめんね?」
「…なに、いってんの」
「面倒だったよね、そういうの嫌いなのに。でもやめたりしないよ、神のこと考えないなんて無理だよ」
「名前」
「会いたいとか、近くにいたいって思うのは恋愛してたら普通の感情でしょう?だから、えっと、何が言いたいのかというと、えっと…わ!」
決して、心地良いとはいえない鈍い痛み
瞬時に何が起きたか分からなかったけれど
「あのね、名前さんよく考えて」
「…はい」
「こんな薄暗いとこで二人っきりであーゆーかわいい事普通言う?」
「よく、わかりません」
「はあ、これだから処女は」
「しょ!」
「ねえ、その上目遣いもなに?今俺に抱きしめられてるの分かっててやってんの?」
「ちが、だって…」
反論を返そうとした口元にそっと神の指が這う
「!」
「ああ、切れちゃったよ痛いでしょ」
「う、ん」
「…初めては優しくしてやろうって思ってたのに」
畜生、と荒々しい言葉をつぶやくその紡ぎさえも
きれいだと、思った