短文

□massage
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…竜崎…さん…?


ミサの中で合点が合いそうになったその時、また先刻の声が聞こえた。

「んんっ…!ゃ…らいと君…」


「!!!」

あまりのショックに、ミサは二つくくりにした髪が逆立ちそうな思いだった。


掠れて上擦っているからか高い声だが、女の声ではない。


どう考えてもこの声の主は一人しか居ないではないか。



(でも、まさか…竜崎さんは男なのに…ライトがそんな訳………)


自分に言い聞かせるように考えていたミサの耳に、残酷にも届いた声…

「竜崎…お前がして下さいって言ったんだろ」

語尾が少し吐息混じりの、耳心地良く響く声…

それは紛れもなくミサの一番好きな、ライトの声…

「ライト…」

ショックを通り越して呆然とするミサをよそに、声は続けて聞こえてくる。


「確かにそう言いましたけど…っ…あぁっ…こんなに痛いなんて思わな…っ」


「…初めは痛いもんだよ。…初々しくていいけどね」

ふっ、と笑いながら放たれたその響きは、ミサが聞いたことのない、色っぽく艶を含んだ声だった。

(ライト…そんなぁ!!ミサにはキス以上のことしてくれないのに!!


あんなパンダ目の男の何がいいのっ!?ミサの方が絶対可愛いのに〜!

そりゃ目は大きいかもしれないし、ミサより細いし色白だけど……けど男でしょ!?竜崎さんは前々からホモっぽいと思ってたけど…ライトがそれに応じるなんて…!)

心の中で怒りを爆発させるミサに、追い討ちをかけるように竜崎の声が聞こえた。

「ぁ…、…気持ち良くなってきました…ありがとうございますライト君…」



ぷちっ。


ミサの怒りは頂点に達した。

尚も熱い息を漏らす竜崎に、深い殺意が沸き上がる。

もし彼女がノートと記憶、そして死神の目を失っていなかったら、竜崎は40秒後心臓麻痺で死んでいただろう。


「ライトは私の彼氏なんだけど!!」


勢い良くドアを開け放ち、ミサは叫んだ。


「………」

そんな彼女の目に映ったのは……


竜崎の上に跨るライト。…が、下にいる竜崎はうつ伏せに横たわっている。


「ぇ…あれ…?」
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