短文
□IKEMEN NOTE
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「お前もメスにはほとほとうんざりだろ?」
「ああ。頭の悪い子が多いからね」
「俺たちはイケメンだから女にモテるのは当たり前。だから女の数で勝負してもつまんない。」
死神界とやらにも女が居るのか…と月は思った。
「だからこのノートでホモにした男を、どれだけ落とせるか勝負ってわけか」
「そゆこと」
「僕は男相手だろうがきっとモテるよリューク」
「だから面白いのさ。死神界から見てたけど、人間界にこの俺様の敵になれるようなイケメンは月、お前くらいしか居ない」
「ふふっ…そうだろうね…じゃあリューク、勝負だ!」
「おうっ!」
月は頭脳明晰である筈だが、自分のイケメンさのこととなるとお馬鹿である。
退屈だった月にとって、自分にそっくりな死神とイケメン勝負とは…恰好の退屈しのぎであった。
「リューク、ちなみにこのノート…元々ホモのやつに使うとどうなるんだ?」
「元々ホモの奴には何の効力もない。それに俺が見ればホモかそうでないかすぐ分かる」
「どうやって?」
「死神の目には…人間の名前と性癖が見えるのさ」
「性癖…?」
「例えば月、お前の頭の上には
夜神 月
基本:ヘテ
ロセクシュアル
同性愛:可(攻のみ)
その他:かなりのサディスト
と書いてある」
「…まあ間違ってないけど、そんなの見えてもな…もっと死神らしく寿命とか見えないの?」
「ん〜…まあ等級が高い死神には寿命とか見えるんだけど…俺は死神大王のじじいに嫌われてるからな」
こんな工ロい透視能力しか与えられてないなんて…さぞ問題児なんだろうな、と月は思った。
その日月は、まずは自分の通う高校の男子生徒全員の名前をノートに書いた。
そして翌月曜日、早速リュークとイケメンバトルを繰り広げた。
結果は男子生徒326人中
月:163 リューク:162で、僅差で月の勝利。
月の高校で唯一元々ホモだったA組の岩沢は、月もリュークも近付くのが嫌だったので数に含まれなかった。
「月…やるな」
「リュークもなかなかじゃないか」
「やっぱり勝負の相手が月で良かったぜ。あ、そろそろそこに書いてないルール教えてやるよ」
「そういうことは早く言えよ」
「だって月の学校の男は顔も名前も分かるだろ。そのノートの効力は、書くときに対象者の顔と名前が頭に入ってないといけない。ゆえに同姓同名の人物はホモにならない」