短文
□IKEMEN NOTE
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「えっ…?」
声がした方に振り向くと、月はあまりの驚きにベランダから落ちそうになった。
「うわっ…!!」
そこには月にそっくりなイケメンが立っていたのだ。顔はそっくりだが髪は黒髪で、バンドマンのようなビジュアル系ファッションに身を包み、肩には黒いファーと共に黒い大きな羽根が生えている。
「え、何でそんな驚くの?」
「驚くだろ普通!だいたい何で僕にそっくりなんだ」
「お前が俺に似てるんだろ。俺は死神界…いや人間界に居たって一番のイケメンだ。俺はイケメン神だぜ、誰かに似てるわけ無いだろ」
僕がお前に似てるならお前は僕に似てることにもなるだろうが…と、突っ込みを入れたかったが月はそれより彼の持っている消しゴムに目が行った。
「まあいいや…で、その消しゴムは?」
「これで消すと、そのノートの効力は消えて元に戻るんたぜ」
「へえ…」
「この消しゴム以外ではノートを破ろうが燃やそうが、絶対取り消せないけどね」
月は消しゴムを受け取り、総一郎の名前を消した。
ゴミ集積場に捨てられた総一郎は途端に、何かに目覚めたようにまばたきをしている。
「戻ったのか」
「戻ったね。まあ、奥さんの誤解を解くのは大変だろうけどな〜…ちなみにホモになってる間の記憶はちゃんと残ってるから、普通の男なら耐えられねーわな」
総一郎は頭を抱え、この世の終わりだとでも言うようにorzの体勢になっている。
月はそれに構わずベランダから部屋に戻ると、窓を閉めた。
「名前は?」
「俺の?俺、リューク」
「何で僕にノートを渡した?これはリューク、お前のなんだろう?」
「退屈だったから」
「退屈?…そうか、僕もだ」
「だろ?それにお前は俺にひけをとらないイケメンだ。」
というより同じ顔だ。
「まあね」
2人ともナルシストなことこの上ない。
「だからこのノートを持つ人間と勝負して暇をつぶそうかな、って訳」
「なるほどね…で、勝負って?」