・短・ 

□*希望と絶望*
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誰か、あの人を癒してあげて欲しい。


誰か、あの人の安らぎになって欲しい。


自分にはきっと叶えられない願いだから。


それをしてあげられるのは自分では無いから。



体も心も。


全てを忘れて休める場所を。



誰か、あの人に作ってあげて欲しい。




誰か。


自分には出来ないから。


誰か。


自分では無理だから。



自分の手でこそ、叶えたい願い程。


自分には何一つとして成し遂げられない願いなのだ。



自分では駄目だと知っている。



あの人の代わりに血に塗れる事は出来ても。


あの人の安らぎにはなれない。



だから例えば。


優しく穏やかな女性があの人の傍に居てくれたらと思う。


強くて真っ直ぐな心を持った女性があの人の傍に居てくれたらと思う。



もしそれが叶うなら。



俺があの人の為に出来る事がある。



あの人が安らいで居られる時間を作る事。


あの人の代わりにどんな仕事でも熟そう。



あの人が安らいで居られる場所を守る事。


何があろうとも俺はその場所を守り抜いてみせる。




だから誰か、叶えてくれ。



あの人を救ってくれ。




何も出来ない自分を歯痒く思うのは無駄な事だと。


あの人に本当に必要なのは俺じゃ無いんだと。



はっきり解らせてくれ。



傲慢な勘違いをする前に。



はっきり解らせてくれ。



でないと、この手が伸びてしまう。


求められてもいないのに。


許されはしないのに。



貴方だけを求めるこの腕が。




貴方を捕らえる前に。




誰か。どうか。



あの人をさらってくれ。




 
 
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