短編
□本性発揮!?
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少年はあるものを追って、街の夜道を駆けていた。
「くそ……逃げ足速いなちくしょー」
独特な色合いの髪を揺らし、若干息切れを起こしながら必死に"それ"を追う。
事の発端は数時間前に遡る。
少年は夜食探しと称した、深夜徘徊さながらの散歩をしていた。
ふと目にコンビニが入り、「あそこでいいか」と入店。あらかたの買い物を済ませて、いざ帰ろうという時に黒い影が横切り、袋を横取りしていった。
盗られた袋を奪還しようと追いかけて今に至る。
「あ゛―――!止まれ!返せ!俺の夜食ー!!」
苦し紛れに少年は叫んだ。
だが黒い影は少年の方をちらりと見るだけで、返す気配が全くない。
頭に来た少年はしかし、自分に限界を感じ始めた。
無理もない。今までずっと影を追いかけ走っていたのだ。
そこで少年は、あるトラップを仕掛けることにした。上着の内ポケットから札のようなものを取り出すと、影に向けて放つ。
すると、そのまま影の持つ袋の中へと入っていった。それを確認した少年はスピードを落とし、やがて止まった。
「うまくいった………」
後で覚えてろーっと言って、その場で休憩をとりはじめた。
同時刻
青年は、少年と同じものを追って翔ていた。