短編

□本性発揮!?
2ページ/5ページ



 少年はあるものを追って、街の夜道を駆けていた。

「くそ……逃げ足速いなちくしょー」

 独特な色合いの髪を揺らし、若干息切れを起こしながら必死に"それ"を追う。

 事の発端は数時間前に遡る。
 少年は夜食探しと称した、深夜徘徊さながらの散歩をしていた。
 ふと目にコンビニが入り、「あそこでいいか」と入店。あらかたの買い物を済ませて、いざ帰ろうという時に黒い影が横切り、袋を横取りしていった。
 盗られた袋を奪還しようと追いかけて今に至る。

「あ゛―――!止まれ!返せ!俺の夜食ー!!」

 苦し紛れに少年は叫んだ。
 だが黒い影は少年の方をちらりと見るだけで、返す気配が全くない。
 頭に来た少年はしかし、自分に限界を感じ始めた。
 無理もない。今までずっと影を追いかけ走っていたのだ。
 そこで少年は、あるトラップを仕掛けることにした。上着の内ポケットから札のようなものを取り出すと、影に向けて放つ。
 すると、そのまま影の持つ袋の中へと入っていった。それを確認した少年はスピードを落とし、やがて止まった。

「うまくいった………」

 後で覚えてろーっと言って、その場で休憩をとりはじめた。



 同時刻
 青年は、少年と同じものを追って翔ていた。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ