短編

□変わらない日々
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 リビングの中心に配置されたソファ。
 そこには一人の青年が座って本を読んでいた。
 灰色の長い髪をうなじで軽くまとめて前に流している。
 邪魔そうに見えるが、等の本人はそう思ってないようだ。

 リビングにはソファ以外、隅にはビデオデッキとその上に乗っかっているテレビ、大量にCDが入っている棚、観葉植物などがある。
 その隣にはキッチンがあり、床は以外と広い。

 ピンポーン

 玄関のチャイムが鳴り、青年は顔を上げた。

「……誰だろ」

 まぁ想像は大体つくんだけどなと心中で呟くと、本を閉じて立ち上がる。
 茶菓子まだあったっけ?なんて考えながら、青年は玄関に向かっていった。

* * * *

「りゅーさーん!また来たよー!」
「………やっぱりお前か」

 案の定、訪問者は予想通りの人物だった。
 頭一つ分以上低い位置に金色が見える。
 青年――リウは溜息をつくと少し屈んで、訪問者の少年の額にデコピンを食らわせた。

「いでっ」
「俺の安息を返せこのやろう」
「んな理不尽な!?」

 少年は指弾された額を押さえると、屈んで唸った。

「で、林、今度は何しに来たのさ」

 少年――林竜平は額を押さえたまま、やけにキラキラしている目をリウに向ける。
 まさか
 リウがそう思ったとき、またも彼が溜息を付くような事を、少年は言った。

「地下室の楽器、貸して!」


 やっぱり。



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