短編
□変わらない日々
2ページ/3ページ
リビングの中心に配置されたソファ。
そこには一人の青年が座って本を読んでいた。
灰色の長い髪をうなじで軽くまとめて前に流している。
邪魔そうに見えるが、等の本人はそう思ってないようだ。
リビングにはソファ以外、隅にはビデオデッキとその上に乗っかっているテレビ、大量にCDが入っている棚、観葉植物などがある。
その隣にはキッチンがあり、床は以外と広い。
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴り、青年は顔を上げた。
「……誰だろ」
まぁ想像は大体つくんだけどなと心中で呟くと、本を閉じて立ち上がる。
茶菓子まだあったっけ?なんて考えながら、青年は玄関に向かっていった。
* * * *
「りゅーさーん!また来たよー!」
「………やっぱりお前か」
案の定、訪問者は予想通りの人物だった。
頭一つ分以上低い位置に金色が見える。
青年――リウは溜息をつくと少し屈んで、訪問者の少年の額にデコピンを食らわせた。
「いでっ」
「俺の安息を返せこのやろう」
「んな理不尽な!?」
少年は指弾された額を押さえると、屈んで唸った。
「で、林、今度は何しに来たのさ」
少年――林竜平は額を押さえたまま、やけにキラキラしている目をリウに向ける。
まさか
リウがそう思ったとき、またも彼が溜息を付くような事を、少年は言った。
「地下室の楽器、貸して!」
やっぱり。