THE ENDLESS WORLD

□第7夜
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 正直言うと、クロスさんの言っていることが殆ど解らなかった。

 ただ、これだけは解った。

 自分がとんでもないものに巻き込まれた事と、

 もう家へ帰れないこと。






 クロスに連れられ"黒の教団"へやって来たリウは、その建物の大きさに圧倒されていた。
 見上げても視界に入りきらないような、そんな建物。
 黒く不気味な壁に、辺りを飛ぶ蝙蝠に似た機械。
 まさに『悪の組織』のような外観で、本当に此処に"聖職者"が居るのかと疑ってしまう。

「ついて来い。入るぞ」
「あ、待って」

 クロスに引かれるままに中に入り、複雑な通路を行く。
 時折他の人とすれ違うが、皆クロスを見ると顔を引きつらせ、足早に去っていく。
 何故そんな顔をするのか。
 少年はそう思ったが、当の本人は全く気にしていない様子なので、自分も気にしない事にした。
 やがて1つの扉の前で止まると、ノックもせずにずかずかと入っていった。

「よう」
「!
 クロス元帥!?」

 部屋の中は外見に反して白く、この部屋の主と思しき人物もまた、白衣のような真っ白いコートを着ていた。

「帰ってきていたのですか……そこの子供は?」
「んあ、こいつか?」
「えっ……!?」

 いきなり話をふられたためリウは驚き、思わずクロスの後ろに隠れる。

「任務の帰りによった街で見つけてきた、適合者だ」

 しかも、寄生型のな。とクロスは言った。
 瞬間、白コートの者の顔が驚きと歓喜に染まった。

「新しいエクソシストですか……!」
「あぁ、だがコイツは適合してまだ日が浅い。まだ色々と足りてねぇ」

 2人が話している間、リウはクロスの後ろから白コートの顔を盗み見ようとしていた。
 だが、ちょっと頭を出しただけで見つかり、にっこりと微笑された。
 たまらずにまた隠れると、クロスの横槍が飛んできた。

「おい、いつまで隠れてんだ」
「あ、いや…えと………」
「いいじゃないですか元帥。緊張しているのでしょう」

 白コートがそういうと、部屋の中央付近にある机へ歩いていった。







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