THE ENDLESS WORLD
□第4夜
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イギリス
とある大きな街の端
ある噂を頼りにクロス・マリアンが向かった家は、雪が降り積もる森の中にあった。
ただそれは、"家"というにはあまりにも大きなものだった。
「どう見ても"屋敷"だろ。コレは」
家――改め屋敷を見て、クロスはぽつりと言った。
ある噂とは
『町外れの家には人の姿をした化け物が住んでいる』
という、平和な街に不釣合いなものだった。
化け物=AKUMAかイノセンス(の適合者)
と判断したクロスは、面倒だと思いながらも真相を確かめるべく、こうして出向いてみたのだが。
まず人殺しなどの起きていないこの街に、アクマは住み着いている筈がないだろう。
大きな街なのだ。もし1体でも居たら、大量虐殺等が起きてもおかしくはない。
となると後者の考えが合っている筈。
そうなると、新たに浮かんでくる問題。
「さーて、どうやりゃ貴族のぼんぼんからイノセンス獲れるかな」
入り口まで歩いてから、どうしたものかと頭を捻った。
考えている事はかなり物騒なのだが。
まずは中に入った方がいいと考え、ドアをノックした。
「…………………」
応答が全く無い。
もう一度ドアをノックしてみたが、返事が一切返ってこなかった。
「おかしいな………」
此処へ来るまでに、まだ新しい足跡を見つけていた。
足跡の大きさからすると子供のものらしく、屋敷へと続くそれは確かに人が住んでいることを表していた。
もし屋敷の者が皆居なくとも、使用人が残っているはずなのだが。
そこにある強烈な違和感と矛盾。
まさか、
そう思ったときには、既に手がドアを押し開けていた。
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