THE ENDLESS WORLD
□第9夜
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「イノセンスに反応して、瞳が仄かに光るそうです」
そう言われて、クロスは思わず足元の少年を見た。
その視線に気付いたのか、リウもまた同じようにクロスを見上げた。
「………?」
不思議そうに見上げてくるリウの瞳。濡れた様な輝きを帯びる銀灰色。
――確かに、コイツの目は光っているようには見えるな。
「どうして光るのかは、今は全く分かっていません。もしかしたら、衰退していった6代目とも何か関係があるのかもしれませんが……」
室長はまだリウを見ている。いや、正確にはリウの瞳を見ていた。
それから、ふとあることを思い出し、話題を切り替えた。
「そういえばリウ、貴方のイノセンスを見てませんね。
………見せてくれませんか?」
リウがクロスから視線を外し、再び室長を見た。
「分かった」
リウは頷くと首周りをくつろげ、左肩が見える位服を前に引っ張った。そこには皮膚に食い込む様に寄生した、薔薇のような姿のイノセンスがあった。
「……これが君のイノセンスなんだね」
丁度鎖骨の下に寄生し、花弁を満開にした薔薇の姿のイノセンス。
淡い紅色をした逸れは、リウの白い肌に良く映えていた。
「では、発動してくれるかな」
「……」
リウは無言で軽く頷くと、右手をイノセンスにあて、目を閉じた。
――発動。
「………これは」
途端、少年の背後から現れた純白の翼。身長に比べてやや小振りのようだが、その翼の美しさに目を奪われる。
「翼の姿をしたイノセンスですか……なかなかに面白いですね」
「―――」
関心して観察していると、少年の隣の男に睨まれた。視線が痛い。
「そんな目で睨まないでくださいよ、元帥」
「余り値踏みするような視線をするんじゃねぇ。コイツが怯えるだろうが」
「そんな目で見てました?」
「隠す気も無い癖に、質問される謂れは無ぇ」
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