love song

□*third song*
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ピンポーン

都内のあるマンションの一室にインターホンが鳴り響く

何か作業をしていた架月が手を止め、モニターで訪問者を確認する。
すると若干嫌な顔をしながら出る。


架「はい」

「架月〜?開けて!」


そこに立っていたのはショートヘアの女性。

架月は無言のままオートロックを解除する。
少し経つと先ほどの女性が入ってくる。


「なんで家にいないのー」


なんて愚痴を零しながら入ってきたのは夏歌。


架「こっちの方が作曲しやすいし。」

夏「確かにそうかもだけど。」


夏歌はなにやら不満そうな顔をする。


架「んで?何しにきた訳?」


作業を再開しながら架月は聞く


夏「いや、別に。特にないけど。」


何も置いてないな。と言いながら部屋を見てまわる夏歌の目に架月の呆れた顔は映らない。

ため息をつきながら作業を再び止める架月

よく考えれば昔から想ってる女性と部屋で2人きりなのだ。
いつも通りの心情でいられるわけがないだろう。
架月も20代前半の普通の男性なのだから。


夏「あれ、やめちゃうの?やっててよかったのに」

架「人がいると集中出来ないし。」


人、というか夏歌がいると、だと思うがそこは気にしないこととしよう。


架「何か飲むか?」

夏「あ、うん。」

架「…その袋は?」


架月がそう指差したのは夏歌が持ってきた袋。


夏「あぁ!」


その袋の存在を忘れていたのか夏歌は大きな声を出す。


夏「ゼリー、持って来たの忘れてた」


以前よりも天然ぶりというかバカさが増したんじゃないかと思う架月


架「貸して。冷蔵庫入れるから」

夏「ごめんねー。」


架月が飲み物を持って部屋に戻ってきた頃には夏歌はきょろきょろせずちゃんと座っていた。
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