love song

□*second song*
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架月が4人の前へ出て行く


夏「は、ハロー」


流暢な架月の挨拶に、たどたどしい英語で返す夏歌。


父「誰も気付かないのか?」


架月の父親が笑いをこらえたような声で4人に言う


架「お前らもっとバカになったんじゃねぇの?」


5年前より少し毒舌になったのか、架月が少し冷たい目で4人を見る。
…いや、その瞳の奥には温かさが見えた。
そう、とても愛しい人を見るような


京「架月…?」


京二が恐る恐る聞く。


架「もっと早く気付けよ。お前らまだバンドやってたのな。」


4人は黙って架月をじーっと見る。
それを見て父親はただ笑う


沙「本当に架月!?」

架「じゃなきゃ誰なんだよ」

沙「え、だって、え!?」


沙知絵と冬馬は、なんか違うとか言ってまだ架月をじーっと見ている。
夏歌はというと。
さっきからずっと黙ったままだ。


架「夏歌、久しぶり。」

夏「……」


架月が声をかけても何も言わない


夏「なんで?」

架「え?」


少し怒り口調で話し出した、夏歌


夏「何で私に何も言ってくれなかったわけ!?」


架月が海外へと発つ前のこと。
架月は夏歌にだけ留学することを告げなかったのだ。


夏「ねぇ、そんなに私のこと嫌いになった?」


伏せ目がちに夏歌が言う。


架「ちがっ…。…大切だから。お前が一番大切だから言えなかった。」


架月は少し寂しそうな、それでもどこか強い目で答えた


夏「なに、それ…っ」


さっきと打って変わって泣きそうな声になる夏歌


夏「架月のばかぁっ!本当に嫌われたのかと思ったんだからね!」


そう言って架月の胸を叩きながら泣き始めた夏歌


架「ごめんって…。泣くなよ。」


それからも夏歌は架月の胸で泣き続けた。
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