僕等の青春録

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 僕の名前は茅島紀隆。
 みんなにはタカちゃんって呼ばれてる。
 みんなって、この学校の生徒みんなね。
 ところで、パック牛乳を飲む僕の親友は今目の前で携帯ゲームで一喜一憂を繰り返す青山悠こと悠くんだ。
 悠くんは家が隣同士だから、みんな幼馴染だけど、その中の誰とよりも長い付き合いで、仲良し。


「ねぇねぇ悠くーん。ゲームばっかりしてないで僕も構ってよぉ?」


 膨れっ面で、両手を悠くんの頬に当て、こちらに向かせる。
 その途端、悠くんは目を真ん丸にしてから真顔でこう言い放った。


「…俺ェ、お前が女だったら今襲ってた!」
「ソーカ聞いた!?僕、悠くんに犯される!」


 慌てて離れて、近くにいた何か漫画を読むソーカの腕に抱き着いて、涙目で訴えかける。
 ソーカは凄く嫌悪を訴える眼差しで僕を見る。
 えへ、しーらない!


「……男同士のンなモン見て喜ぶのは一部の腐った女くらいダロ。」
「何だァ?タカちゃんとあーんなことして見せたら一部の女にモテんのォ?」
「……モテるんじゃア無ぇヨ。」
「いや、悠くん。僕いくらなんでも悠くんとそんなこと出来ないよぉ?」
「……だよなァ。」
「……お前ちょっと本気だったロ。」
「さァて、どうでしょー?」
「じ、じゃあ……優しくしてねぇ…?」


 もじもじとしながらの僕の全力の上目遣い。
 何て言うか、僕って童顔だからこういうことすると似合っちゃうんだよねぇ。


「タカちゃーん!何でお前は女に生まれてこなかったァ!?」


 悠くんの嘆きは、まぁよく聞くもの。
 あはは、でも残念ながら僕は女の子大好きな男の子だし。


「ねぇそんなことより、ゲーム大丈夫?」
「ぎゃあああ死んでるゥゥ!俺のノリタカァァ!」
「ちょ、悠くんまた主人公に僕の名前付ける!やめてって言ったでしょ!」


 ゲーム機を取り上げようとしたらさっとかわされる。
 そんなことするから僕がむくれる、だけど今度は無視してリスタートしだした。
 カチャカチャとボタンの連打音と効果音が辺りに流れ、僕は片手に持つパック牛乳を飲みながら悠くんのゲーム機を覗き込んで。


「勇者ノリタカはさー強いんだけどォ、黒魔道士のソーカがなァ…。」
「……てンめ、何人の名前勝手に使ってんダ、著作権侵害で訴えんゾ。」
「ちなみに白魔道士がこたで、遊び人のジュン。そんで剣士がヤマキヨで、女の鞭使いがタカシィ!」


 その言葉でソーカはブッと吹き出してしまった。
 僕は牛乳を吹き出すのを必死に堪えて飲み込む。
 それから、大爆笑。


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