短編

□私の恋は金属製
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 私の家は代々続く名家で、父はとても厳格なお方です。
 一人娘の私は、所謂箱入りと言うもので、蝶よ花よと育てられました。
 裕福な家庭だった為に私は当たり前のように学校に通えたため、少し治安の悪い場所を通る度に、羨望や腹立の眼差しを受けます。
でも私はそんな境遇に不満は感じませんでしたし、だからといって幸せと言うわけでもありませんでした。
 他の人とは違うと言うのは辛いものだと実感はしつつも、両親の愛を一身に受けることが出来たからです。

 そんな私も、22になり、学校を卒業しました。
 父としては早々にこの家を継いでほしいらしく、お見合いの席を設けられました。
 幼い頃からそうなることはぼんやりと伝えられていたので、さして驚く程のことではありません。
 私は二つ返事で了承したそのお見合いの席を1週間後に控え、いつも通りの日を過ごします。

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