短編

□ふわふわり
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 ここはぷかぷか、雲の上。
 ふわふわの真っ白な服を着た丸い子達の住む場所です。
 そしてシュニーとネージュもその中の一部なのでした。


「ねぇシュニー、もうすぐクリスマスなんだって。」

「知ってるよ、地上がキラキラしだしたからね。」


 ネージュはシュニーに語りかけました、雲の切れ間から地上を見下ろしながら。
 そこから見えたものは、もう夜なのにあっちこっちに赤青緑黄色と沢山の色がチカチカと輝いている光景です。


「地上はとても楽しそう。僕もクリスマスには地上に行きたいな。」

「じゃあネージュ、行こうよ。」

「一緒に?」

「もちろん。」


 そうしてシュニーとネージュは仲良く地上に降りるゲートを訪れました。
 そこには真っ白い行列が出来ています。
 きっとみんな地上のクリスマスを見に行きたいのでしょう。


「ねえネージュ、僕達までに締め切られないかな?」

「シュニーは心配性だね。きっと大丈夫さ、地上は凄く広いだろう?」

「そうだね。ああ、楽しみだなあ。」


 陽気にはしゃぐネージュの横で、シュニーも静かに微笑みました。
 長い長い行列です、やっとシュニーとネージュの番になった時にはもうクリスマスは目の前です。


「ぎりぎりだったね。」

「良かった、間に合って。」


 シュニーとネージュはほっと一息。
 一緒に地上へのゲートを潜ろうとした時です、二人は門番さんに止められてしまいました。


「ネージュ、君はあっちのゲートだよ。」

「えっ、やだよ!僕はシュニーと一緒が良いんだ!」

「駄目だよ、規則だからね。…ああでも二人のゲートは隣同士だからもしかしたら出会えるさ。」

「ネージュ、行きな。大丈夫、きっとまた会えるよ。」

「……シュニーが言うなら。」


 ネージュは渋々と隣のゲートを潜ることにしました。
 門番さんの合図でシュニーとネージュはゲートを潜り、ふわりと雲を飛び降りました。

 シャンシャン、どこからか鈴の音が聞こえる真っ暗な空をふわり、ふわりと漂いながら落ちます。
 ふわり、ふわり。
 ふわふわり。

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