僕等の青春録
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緑果てなく
空は青
自然が萌ゆる
山の辺に
高貴に写るその学び舎は
ああー我が母校
鈴音高校
―ああ何てくだらない校歌だ。
―早く廃れちまえよなァ。
―あと2年で完全に消滅だけどねぇ。
―え、潰れるってマジなのかよ?
―だって入学者ゼロだべ?
只今、絶賛始業式中。
ただ校歌はCDが流れるばかりで生徒はほぼ全員歌う気は無い。
そもそも歌詞も音楽も知らない。
そんなこの鈴音高校に対する思いを聞けば、全校生徒計15人は口を揃えてこう言う。
「この学校には何も無い。」
田舎なためあたりは田んぼや畑が広がるばかり。
田舎の空気は美味いなんていうけれど、ずっと住んでりゃ土くさいだけ。
女どもは全員近所にある女子高通い。
それから周りの男だって全員幼馴染と言うつまらなさ。
都会に出て行くやつも何人かいたけれど、親の仕事を継ぐ予定の者が大多数。
しかし何故だろう、今年に限って電車で行かねばならない程の少し距離のある場所に共学が出来、そちらに全員が行ってしまったという事態。
校歌を歌い終わり―もとい流れ終わり、次は校長先生の話。
勿論、話を聞く生徒なんて皆無。
例えば、2年の列では―
「悠くーん、抜けようよぉ。僕暇でたまんなぁい。」
「俺も暇だけどォ。つーかタカちゃん声でけェ。」
「抜けるのは許さん、それにお前達黙らないか。俺の左右でやかましい!」
「しゃーねェじゃんかァ。名簿順だろォ?」
「いや、てゆーか隆の怒鳴り声が1番うるさいでしょお?」
「…んでこんなもん……めんどくさいけぇ…。」
「とみーが愚痴ってるゼ、ワロスワロス。」
「ソーカ、うるさいから俺の横で話さないでもらえるかな。」
「圭ちゃん、悪口、駄目。」
「わお、ヤマキヨが喋ったし俺が怒られるし。」
「来るんじゃなかったけぇ…帰りてぇのぉ…。」
一方、その後ろの列、3年生は―
「なぁマモあれだべ?この式出なかったら成績落とされんだよな?」
「そういえばこーちゃんそんなこと…あーだから珍しく純がいるんだ。」
「だって悠くんもタカちゃんも一緒してくんないんだもん。しゃーなくね?」
「つーカ俺としちゃア、デジのパソコンがァどこアクセスしてんのかが気になル。」
「ビビ、ビー…俺様はドンキー如きが思ってるようなオタク的サイトにゃアクセスしてねーェわけ。」
「残念だナ。」
「お前らの話マジわかんねぇわ。」
「馬鹿かお前は?俺様もドンキーが何言ってんのかさっぱりだぞ。」
「そんな事よりデジのパソコンの持ち込みはどうなんだと山さんは思うぞー。」
「え、駄目なのに持ってきてるの?ってことはデジは悪いってこと?」
「んー、面倒だからぁ、シータはちょっと黙ってて欲しいなぁ。」
「えっ何で?」
「俺も全くの同意見だー。」
「ノノも山さんも酷いぞ、シータにもっと優しくしてやろーぜ!な?」
「わお、桃優しい。ってことで僕は帰宅するよ。」
「ちょ、すっちー?澄也くーん?折角来たんだからよ、いろよ!」
「やだ。眠い。」
そう言って、渡辺が立ち上がろうとしたところで、校長は話を切り上げた。
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