アナザー本編
□05
1ページ/1ページ
『おかえり。杏里ちゃんも一緒なんだね』
出迎えた私ははホッと胸をなで下ろした。
響ちゃんと杏里ちゃん、やっぱり相性いいんじゃないか?
色々悩みがあるし。
「ただいまセルティさん」
「響ちゃん…セルティさんと住んでたんですね」
「うん、やっぱり杏里ちゃんセルティさんと知り合いなんだ?」
「はい、色々ありまして…」
杏里ちゃんは言いにくそうに口を積むんだ。
響ちゃんはそれを悟ってこれ以上は聞かなかった。
「そういえば、新羅さんは?」
『あいつは仕事にでてるよ、だからいない』
「そうですか」
あ、そう言えば、今日は静雄が仕事帰りに来るって連絡してきたな…。
『今日静雄くると思うぞ』
「ほんとですか!?杏里ちゃん紹介しなきゃ!」
「ふふっ、平和島さんが大好きなんですね」
「ちっちがっ!」
響ちゃんは顔を真っ赤にして手をぶんぶんと振り回す。図星か。
『素直でよろしい』
「よろしくなーい!」
「ふふっ、」
それからしばらくは、楽しい会話が続いた。
どうやら響ちゃんも、谷田部くんのことから立ち直ってきているようだ。
良いことなんだ。
それなのに、
この不安はなんだろう――…
私は胸の中にもやもやをしまい込んだまま、静雄がきて、やり過ごした。
110130