アナザー本編
□08
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「響、どうした?帰ってきてすぐ引きこもって…」
扉の外から静兄の声。
大好きな声なのに、今の私は少しも耳を傾けなかった。
「………出てくるまで、ちゃんとここにいるからな。落ち着いたら出てこい」
――――――――
『なぁ新羅、響ちゃん大丈夫なのか?静雄もずっと扉の前で座って待ってるし…』
「僕が思うにはね、セルティ。響ちゃんは数少ない経験をしたんだと思うよ」
『それは…なんなんだ?』
「“恋”だよ」
『もしかして、相手はあの谷田部って子か!?』
「おそらくね。でも…」
『でも?』
「その関係は一気に砕けた」
『……力があるから、か?』
「それもだろうけど、まだほかにある気がする。もしその谷田部君が黄巾賊だったら、谷田部君にとっては響ちゃんは敵になる」
『なんで敵になるんだ?』
「“平和島静雄の妹”だから」
『あ……そうか…』
「……セルティ、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。響ちゃんは強い子だよ、力だけじゃなく、心も。」
『だと、いいんだけどな』
「セルティ、ちょっと提案があるんだ」
『??』
『それ、私も賛成だ!響ちゃんは経験不足だからな』
「じゃあ、決まりだね」
大切な君のために
僕らに出来ること全てを
君にしてあげよう...
110119