アナザー本編

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「ぐ…ぁ………」

「女だからって、なめないでもらえるかな」

「なんなんだよ……兄妹、そろって……化け物、かよ」



“化け物”なんて、言われても傷つかない。
自覚しているから。





「響……?」





声の主は、谷田部くんだった。



「や…谷田部く……」



あぁ……

終わった。



「やっぱり…お前は平和島静雄と同じなんだな……」



私の目からはボロボロと涙がこぼれ落ちていく。
結末を、予想できてしまったからだ。











「ごめん……お前とはこれで終わりだ……」










谷田部くんは悲しそうな表情で私を見つめた。




「俺にとって、黄巾賊は…大事なんだ」



「だから、黄巾賊の敵は…俺の敵」





私はこぼれ落ちていく涙を抑えて、谷田部くんを睨む。





「静兄の敵は、私の敵。私たち、敵同士ね」



谷田部くんは私の睨みから目を背けない。




「そういう目をすると、平和島静雄にそっくりだな」



谷田部くんは苦しそうな笑みで言った。


こんな顔をさせているのは、私なんだ。


その事に罪悪感を抱きながら、私は携帯を取り出す。


私は携帯を地面に落とし、勢いよく踏みつけた。
携帯は壊れ、画面にはヒビが入っていた。



「これでもう、私はあなたに連絡もできなくなる。正真正銘、お別れ。もう、二度と会わない」



私はアジトを出た。



かすかに聞こえた、谷田部くんの声。






「ごめんな…………」






  101227

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