アナザー本編

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「かわいいお嬢さんだね、描くかいがあるよ」

「えへへ、ありがとうございます!」



南池袋公園で、私と谷田部くんはおじいさんの前で座っている。
谷田部くんはさっきから周りを気にしている。
そういえば、先程から黄巾賊らしき人たちがこちらを見ている。
私が静兄の妹だってことを知っているからだろうか。



「ほらできた!」

「ありがとうございます!谷田部くん見て!」

「あ?あ、ああ。すげぇそっくりじゃん」

「でしょ!?おじいさん、ありがとうございました!」



私たちは立ち上がって公園を出た。
すると、谷田部くんの携帯がなった    。
どうやら友人から電話らしい。
私たちは解散することにして、別々にわかれた。
私は描いてもらった絵を胸に抱いて小走りで帰った。

私に、こんなに幸せな毎日があって良いのだろうか。

そんな事を考えながら、家路を急いだ。



――――――――――――――――




「どうした?」



電話の相手はさっき公園にいた奴らだった。
俺は携帯を耳に当てながら歩く。



「谷田部さ、さっきの女と仲良いわけ?」

「あ?ああ…まぁな、最近知り合ったんだ」

「………谷田部、お前わかってんのか?」

「……?なにがだよ」





「あの女、敵である平和島静雄の妹だぞ?」





俺の足はピタリと歩くのを止めた。

平和島静雄の妹……?



「あ、あいつが?」

「ああ、妹だ」






俺の中で、さっきまで見ていた響の笑顔が、音もなく崩れ落ちた。




  101226

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