アナザー本編

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「へぇ〜響ちゃんは池袋来たばっかりか」

「うん、谷田部くんはずっとここ育ち?」

「ああ、ずっとだな」



私たちはカウンター席で無料になるクレムリン握りを食べていた。



「………そういえば」

「ん?」

「その黄色、街でよく見るみたいなんだけど…今流行ってるの?」

「あ〜…、来たばっかりだからしらねぇのか…」


谷田部くんはお寿司に目線を写し、話し出した。


「この黄色はさ、カラーギャングの黄巾賊っつーグループのカラーなんだよ」

「黄巾賊?」

「あ〜黄巾賊ってのは、俺の同い年の人が作ったカラーギャングで、悪くいえば……喧嘩するチーム?」

「………喧嘩?」

「まぁ、喧嘩してんのは一部なんだけどよ…最近は荒れてっからな…」



街中で見ない日は無い黄巾賊。
きっと、チーム人数は100以上。
確かに、喧嘩をしてるのも見る。
そんなチームいいのかな…。



「あ、俺は喧嘩なんて滅多にしねぇよ?しないからな!?」

「うん、谷田部くんは優しいし。そんな事思ってないよ」

「ならいんだけどな…」



私も、人のこと言えないかも。
気づかない時に力任せになってるかもしれないし。



「黄巾賊の話はいいからさ、響の事を教えてくれよ」



その瞬間、私の息が止まった。
自分のことなんて、話しちゃいけない。
恐がれるのが落ち。



「わ、私のことはいいから!」

「え、だってせっかく会ったんだし、もうダチだろ?」



ダチ?
谷田部くんが、私の友達?
やばい。
嬉しい…。
私の力はこんなんだから、友達なんてあの時以来できなかった。



「私なんかを、友達って言ってくれるんだね」

「友達…いねぇの?」

「知り合いなら数名」

「ふーん…じゃあさ、池袋に来てからの友達第1号ってことか?」

「まぁ、そうなるね」

「じゃあ、第1号のお願い。ケー番交換しようぜ」



私は谷田部くんをじっと見つめる。
電話しようってことだよね?
なんか、ホントに嬉しい。



「赤外線〜」



私たちは赤外線通信で連絡先を交換した。
私は嬉しくてはしゃいでいると、店の外から大声が聞こえた。



「いぃざぁぁあやぁぁあ!!!」



同時に大きなものが落ちたような音も聞こえた。
多分自販機が落ちたのだろう。



「平和島静雄……」

「谷田部くん知ってるの?」

「知ってるっつーか、……平和島静雄は黄巾賊の一番の敵なんだ」




一番の、敵……。


じゃあ、その一番の敵の妹は、どうなるの?





やっぱり、敵なの?





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