アナザー本編

□07
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ガァアアン!!




気がついたら、折原さんの前に出てきて、自販機をけっ飛ばしていた。


「えぇ?」


自分でもビックリ。

私は元々力が人並みはずれて強い方だった。運動神経も先生からたくさん褒められた。



「すっげぇ」

「わ、私……」


自販機を蹴っ飛ばした足がじりじりと痛み出す。

「いったぁい!!」


私は片足を抑えながらケンケンして動き回る。

骨が折れた訳じゃないけど、タンスに足の小指をぶつけた痛みの二倍痛い。
とにかく痛い。

私は前に倒れそうになったとき、急に抱きしめられた。

金髪の髪が視界にはいる。

それに、黒いベストにカッターシャツ。
私と同じような服装。


「………お兄ちゃん?」


「…………響だよな、響なんだよな     ?」



多分、お兄ちゃんだ。

小さい頃、抱きしめられた感覚を、かすかに覚えてる。
この腕だ……。ちょっと堅くなってるけど。



「そこのふたリーイチャイチャするなー」

「………臨也、いまはおまえの相手をする暇はない。失せろ」

「うわっ!ひっどーい!」


お兄ちゃんは私を抱きしめたまま折原さんの嫌みを軽く返す。


「シズちゃんってシスコンなの?」

「うるせぇ」


その瞬間、お兄ちゃんは私を抱え上げてスタスタと歩き出した。


「響ちゃんまたねー」

「あ、また!」

「返事するな」


むっとした顔が、私にはとてもかわいく見えて、つい笑ってしまう。

お兄ちゃんにあえたのがうれしくて、私はとっても幸せな気分だった。




  101103

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