アナザー本編
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東京池袋。
ここに来たのは十四年ぶり。私が三歳の時まで住んでいた街だ。そして……。
私の兄が住む街。
兄はその時十歳だった。
私は三歳だったから、顔なんて全く覚えていない。
でも、兄は私をとても大切に思ってくれていたのは覚えてる。
私はその時すぐ迷子になってしまうような子だった。
そんな私を兄は必死に探してくれた。そして、優しく抱きしめてくれた。
でも、私と兄は引き離された。
「あの子といると響が危ないの」
そうおばあちゃんに言われて、もう一人の兄とも別れることになってしまった。
あれから十四年たって、私は十七歳。
兄たちとは音信不通。
だから、私が二人を見つけ出す。
おばあちゃんたちが、許してくれた。
「家族はやっぱり、一緒にいないとね」って。
兄の顔はわからないけど、名前だけわかる。
―――平和島静雄。
―――平和島幽。
妹なんだし、きっとわかるはず!
待っててお兄ちゃん!
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