アナザー本編
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※発端は些細な手違い
「で…できたー!」
セルティさんと宇宙人ネタの映画を見ていたら、新羅さんの大きな声が聞こえてきた。
なにができたのだろうか…。
映画を真剣に見続けているセルティさんをチラと確認してから、私は新羅さんのもとへ歩いた。
「なにができたんですか?」
「あ、響ちゃん!あのね、適当に材料詰め込んで爆発しないようになにか作れないかなってやってたんだけど、見事に爆発しなかったんだ!」
「ば、爆発って……」
「どんな薬になったのかは分からないけど、研究にちょうどいいや!」
新羅さんはよくわからないことをする。
別に悪いことではないけれど、それに付き合うのは私には無理そう。
プルルルル
家の電話が鳴った。
「私でますね!」
「うん、ありがとう」
電話に出てみると、男の人の声。
『岸谷新羅さんに変わってください』
「はい、少々お待ちください」
受話器を切れないようにおいて、新羅さんを呼びに行くと、瓶を2つ持っていた。
「新羅さんに変わって欲しいそうです」
「え、あーわかったよ。ありがとね」
新羅さんは電話にかけていった。
しばらくすると、暗い顔で帰ってきた。
どうしたんですか?と聞くと、仕事入っちゃった、とうなだれた。
「僕はやく用意していかないと…。あ、響ちゃん!これ静雄に渡しといて」
「……瓶?」
「中身は栄養満点の薬だからさ」
「静兄が飲むんですか?」
「なんか栄養ドリンクハマってるみたいだからさ」
「新羅さんのお手製ですね!きっと健康になります!」
「へへ、ありがとう!じゃあ僕は準備に行くから」
そう言って新羅さんは自室へ入っていった。
私は薬をスカートのポケットに入れて家を出た。