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□おいしい珈琲
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「…おいしくない?」
「いいや?美味いと言っているだろう?」
でもグレイはどこか不機嫌に、まだ熱い珈琲をあおる。
「…美味すぎるぐらいだ」
…何故だろう、やはり棘を感じる。
豆自体が好みじゃなかったのか、それとも浅煎りが良かったのか…
グレイは珈琲をブラックで飲むので、豆の量を抑え目にしてある。
その分コク強めな豆を深く炭火培煎したものを使用してみた。
「(ロースト…のせいでもないなら、挽き方が今回雑過ぎたかしら…でも布フィルターだし…あのくらいのほうが…)」
「…いや、すまない」
「…え??」
思考の捩れに嵌まっていたところを、グレイに引きずり戻される。