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□あなたの見る夢
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うすうすは感じていたんだけれど、私はやっぱり欲張りだったみたいだ。
現実であんなに優しくしてもらってるだけじゃ足りないとでも言うつもりなのだろうか…
私はグレイの夢について、ナイトメアに聞いてみたかったのだ。
彼は悪夢を見るのだろうか。それとも、過去を思い起こしているのだろうか。
なんだかうまく想像がつかない。
ナイトメアはいやな記憶を掘り起こすかのような表情で、首筋に手をやる。
「…私があいつの夢に行くと決まって説教される」
…つまりグレイは、夢でも仕事を忘れていないということだろうか。
ある意味凄い。凄すぎる…
「昔はゴチャゴチャした夢ばかりだったが、まあ最近はアレだな。随分シンプルな夢を見てるぞ」
なんだか漠然としている。
「…ヤツの夢の説明は難しいんだ」
どうやら夢魔にも、得手不得手があるらしい。
「その点、君の夢はじつに分かりやすく出来ている」
「…そうね」
姉さんの夢。そればかりだから…
「ヤツの過去を知りたいかね?」
「知りたくない、と言ったら嘘になるわね。
でも、いいの」
本人のいないところで、こういう話はしたくない。
…本人に聞いても、あまり詳しくは話してくれないけれど。
それでも、あくまで想像の人物としてしか彼の過去を知らなくても、それでいい。
今目の前にいるグレイの方が、過去より何百倍も大事だから。
「幸せな奴だよ…まったく」
かなりつまらなさそうに、ナイトメアはため息を吐いた。