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□おいしい珈琲
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『おいしい珈琲』



「…君は、珈琲を煎れるのがとても上手い」
「…」

含みのある言い方だ。

仕事が忙しくなると、グレイは満足な休憩はおろか、食事も疎かにしてしまう節がある。
ただでさえ徹夜続きで不健康極まりないというのに、食事まで抜いていては体が持つわけもない。

そんな事態に憂いた私が取った行動…つまり珈琲だ。

飲みものならば摂取しやすいし、グレイも好んで飲むため手を伸ばしてくれる。

時計塔に滞在していた頃から珈琲を煎れるのは趣味みたいなものだったし、珈琲に関しては煩いユリウスにも太鼓判を押してもらえた味だ。

だから、珈琲にはちょっとした拘りや自信があった。

のだが…


 
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