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□嫌いなアリス
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「もう、此処へは来ないわ」
「ふうん」

アリスは焦っている。
いや、緊張している。の方が近いかな。
俺の手は剣の柄にかかり、彼女はそこから視線を外さない。
冷たくドロドロとした空気が、足元に沈殿している。

「もう、ドアは開けないって決めたから」
「…へえ、そう」

階段と、ドアだらけの空間。
会合の最終日に、俺とアリスはドアの前で向かい合っていた。

「…エースはどうしたいの?」
「うーん、そうだな」
「私を斬りたい?」
「まあ、そういう気分じゃないと言ったら…嘘になるかな?」
「ずいぶん騎士らしくない、歯切れの悪い返事ね」

彼女の言葉は相変わらずで、しかしその表情は笑っていた。
何もかもを許すような顔をして。

「そっか、参ったな…」



『嫌いなアリス』




 
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