† 両手の言の葉 †

□Marmaid
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【Marmaid】



いつか貴方に届くようにと
決して貴方の耳に聞こえることはないけど
愛しさ込めて
私は此処で唄い続けるの
冷たい水の中で

貴方と出逢えた奇跡を信じて
貴方を愛した奇蹟を祈って



眠れぬ夜を重ねては
頬つたう悲しみに咲いた花
色無く 人知れず
哀しさのまま散った

もし私が人間なら
愛されていたの?
人魚だから
愛すること 許されないの?
愚かだとしても
私は貴方を想う



想いは海より深く
祈りは空より高く
胸の切なさに降り積もる星屑
月の光りもなく
星の輝きもない
夜の闇の中で
愛しさだけが辿っていく夢路
貴方じゃないなら
そっと泡のように消えるわ



呼び合って 見つめ合い
惹かれ合う
いつか嵐は去っていく
だけど 一つ取り残された心

嵐が掻き回す
波が打ち寄せては 手で掬い
波が引いては 追っていた


誰よりも貴方が愛しくて
願うから知ってしまう
あの日の約束が
決して叶うことなく
沈んでいくと



嵐の後の静けさに響く
哀しいうた
波がさらっていった
真珠の涙は
綺麗に空へと舞い上がり
掻き消されていった




貴方は誰かを愛し
私は貴方を許す

想いを告げることさえ出来ず
温もりを感じることも
許されない人魚は
一人儚く
想いにメロディー馳せて
青い海の底へ 帰っていく
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