秘密請負人

□―未来と反抗―
3ページ/28ページ



え!?

と、香と亜矢は後ろを振り向く。


そこには、自分たちと同じくらいの、色素のうすい髪と肌の、華のある青年がいた。
しかし、香も亜矢も見覚えのない、知らない人物だった。


てゆうか…ダブルデートって(焦


「男一人足りねぇじゃないか。」

「いるいる、ほらっ!」
青年は自分の後ろに居て、見えていなかったもう一人を前に押し出した。



いやいやいや!
何であんたが此処に!?



「どうも。」

にっこりと微笑んだ変態がそこにいた。



日高柚介(ひだかゆうすけ)の整った顔で微笑みを向けられれば、当然、並みの男は怯んでしまう。

目の前の、ナンパしてきた男二人も例外ではなかった。



そのすきに四人はさっさと、その場を立ち去ることにする。





香は歩きながら、
「先生…なにしてんの?」
と聞いてみる。

柚介は化学教師で、平日のこの時間は職員室で仕事をしているはず。

「急に仕事がはいりまして。
頼んで夕方から休みをもらったんですよ。」

つまり、副業のほうの仕事ってわけね…。



柚介は趣味で人の秘密を集める変態だ。

様々な人物の秘密を知っているらしく、それが転じて副業になっている。

秘密に関するトラブルなどの依頼を引き受けて解決するのが仕事だ。


香はやんごとなき事情により、彼の下でバイトをしている。



「ねぇ、この子達柚介のとこの生徒さんでしょ?」

あ、忘れてた。
この人はどなたです?
と柚介に視線をおくる。



「気にしないでください。ただの知り合いです。」

「さすが先生のお知り合いですね!」

それはどういう意味なんだ、亜矢…
と心の中で亜矢に突っ込む。




「女性なんですから、気をつけてくださいねv」

では僕たちはこっちに行くので、と柚介は会釈して香達とは別の方向へ歩いていった。
青年も香達に手を振って、柚介の後を追う。


「はぁー、今日はツイてるわ。」

亜矢はうっとりしながら呟いた。

……ぜんぜんツイてない。
香はうんざりするのであった。










柚介もうんざりしながら、隣の人物を横目で見た。

「もしかして、髪が肩までの可愛い子ってさ、柚介の仕事知ってる?」

「どうしてです?」

カンかな?とソイツは答えた。


「たいしたカンですね」
と柚介は鼻で笑うが、相手は気にする様子もない。

まったく、面倒な仕事を依頼されたな…


「あの顔は柚介の性格の悪さもしってるみたいだったよねぇ」
ニヤリと笑みを浮かべる。



「あの子…興味あるなぁ」
呟く隣の人物に、柚介は嫌な予感しかしない。


「面倒なことは起こさないでくださいね。僕の仕事に支障をきたすので。」

柚介はとりあえず、釘をさした。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ