秘密請負人
□―出会いと仕事―
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日高先生様は変態だ…うん。
香はパソコンの画面を眺めて、肩を落とした。
また私に調査の手伝いしろってことね…
日高柚介は真の変態だった。
何故なら彼は趣味で人の秘密を集めている。
そう、本人は趣味のつもりなのだ、迷惑なことに。
第三者は知らない、柚介と本人だけが知っている秘密…。
つまり、柚介はなにか秘密絡みのトラブルが起きたときに頼られてしまう存在なのだ。
なにかとそんな秘密絡みのトラブルが起きると、柚介は都合よく利用されていたそうだ。
利用されるのが癪にさわった柚介は金を取ることにしたらしい。
それが日高柚介の副業になっている。
だけど、今回の事件はどうなんだろう…?
香が首を傾げると、柚介はニヤリとした。
「おそらく君が思っているように、この事件自体は学園内でも相当な噂になっているため秘密でもなんでもない。
けれど、僕はこの事件に関するある人物の秘密を握っていてね。それで依頼を受けることにしたんだ。」
さらに香は解らなくなる。
「依頼者はどなたなんですか?」
「それを言ってしまっては僕の信用が落ちるだろう?
それくらいは28点の君でもわかってくれるとおもったんだが」
ぐ、と香は黙るしかない。
確かにその通りではあるのだ。これしきの嫌みをいわれて一々怒ってしまっては身が持たない。
短い付き合いながらも解ってきた柚介の性格に、香は言いたい文句の一つは我慢した。
一つだけだが。
化学教師は意地の悪い笑みを浮かべて、
「やってくれるね?」
と香に問いかける。
やるしかないのだ、結局は。
「わかったよっ!」
むすっとしながらも香は答えた。
じゃあ、早速今夜10時に体育館集合、と柚介に言われ、数枚の事件資料を受け取って、香は教室へ戻る。
一抹の不安を抱えてはいたが、変態教師の仕事への態度には少なからず信頼を寄せているのを、香は自覚してしまっていた。
もちろん、それは香にとってテストの結果の次に落ち込ませられる要因で。
「はぁぁぁぁ…」
と、今日何度目かの、ため息を再び吐くのであった。