捧げ物・頂き物

□願うこと。
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もうすぐ年越し。
相変わらず止まない雪を眺めながら、俺:スカイは溜息を吐いた。
身体の芯から冷え切り、思うように動けない。


「ほらスカイっ、投げて!」
隣から王子:スカーレットの声が響く。
直後、コートに当たった雪玉。
俺の向かいでディルカがにんまりと笑っている。
「よし、スカイに当てた!」
…臨むところだディルカ君。


突然ですが、現在進行形で雪合戦の真っ最中。
こんな寒い中で雪合戦とは、王子の配慮にも困ったもんだ。
本人はめちゃくちゃ楽しそうに雪玉を投げている。
「ディルカ、はい」
雪玉を作ってはディルカに渡すディルカの幼なじみ:アギ。
「王子さんが以外にすばしっこいですね」
笑みを零しながら、ディルカの兄:ユリスが雪をかき集める。
「って、明らかに3対2だろ」
「私は雪を集めて両チームに差し上げているだけですよ。
なので不公平なんてありません」
そんな爽やかな笑みを向けながら言うな。


「ようし、行くぞ!」
ディルカが投げた雪玉が俺と王子を直撃した。
ディルカの後ろからアギの「わあ」という声が聞こえた。
「勝負あり、ですね」
ユリスが静かに拍手を送った。


俺は王子に手を差し延べた。
「すみません、リベンジできなくて」
「いいよっ、ディルカは強いもんねっ」
ふと、俺は王子の奥に目をやった。


そこには2人の人影があった。
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