03/15の日記

00:47
伝染(閲覧注意)
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閲覧注意
思い切り紀佐。



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秀吉が開いた茶会でのことだった。
豊臣諸大名が集められ、その中に三成と吉継の姿も見受けられた。

諸将たちが一人一人一口茶碗の茶を飲み回して行くという茶会であったが誰もが吉継の口づけた物は飲むのを躊躇った。
それは吉継は死病に犯され誰もがその病への感染を恐れたからである。

だから皆、飲むふりをしてただ口づけるだけの行為を繰り返していた。


そんなとき、吉継に茶碗が回ってきたときのことだった。
ぽとり、と茶碗の中に何か一滴、落ちたのである。

それは誰もが嫌がるものであった。


そのとき吉継はああ、しまったと思った。
それ以前に今までにない恐怖感、劣等感、嫌悪感が押し寄せた。


落ちたものは吉継の肌より流れ出た膿であった。
死病により肌が爛れ布で覆い隠しているものの、流れ出る膿は止まることを知らず毎回の対処に困っていた。

それが、今日、一番なってほしくない時に起きてしまった。
しかも中に、だ。

誰もがその光景を目の当たりにしていた。
所々から嫌味のような、気味悪がる言葉が聞こえてくる。

居たたまれない気持ちに襲われ自然と体が震える。
しかしどうするわけにもできずただただ硬直していれば秀吉が「どうした?紀之介。まわさんのか?」と問うてきた。
秀吉はその一場面を見ていたものの気にするそぶりはなかった。

吉継は躊躇いながらも主君の言うことを無視するわけにもいかず隣の者へ茶碗を回した。

当然回された相手は嫌な顔をする。
そしてやるのだ、飲むふりを。

吉継はその光景を見て胸の内に押し寄せる波を抑えつけるのに必死だった。


そんな光景を三成は不機嫌そうに見つめていた。
飲むふりをする大名、嫌味を言う大名、気味悪がる大名。
全てに不機嫌を感じていた。

普段なら感じないこと。
なぜ感じるかはその相手が唯一無二の親友だからである。
茶碗の中に膿が入ったのも大名たちのそぶりを見て大方把握していた。


だんだんと自分へと回ってくる茶碗。
全く茶の量は減ってはいなかった。
吉継の方を見れば俯いているのが見えた。
それでさらに不機嫌になる。
眉間に皺を寄せていれば自分のもとに茶碗が回ってくる。

乱暴にそれを受け取れば誰もが見つめる中基本の作法をこなし、その膿が入った茶を喉を鳴らして飲み干した。

その光景には他の大名も驚きを隠しきれない。しかし一番に驚いていたのは吉継自身であった。
思わず目を見開いて三成を見つめる。

三成は飲み干した茶碗を置けば一息ついてこう発した。


「実に美味なり。思わず飲み干してしまった。…もう一杯いただけるでしょうか?」


と。
皆が言葉を失った。
唖然と三成を見つめている。
そんな中秀吉はええぞええぞと茶を点て始めたのだった。

そのような展開で茶会は幕を閉じた。



吉継は一人外廊下に立ち尽くしていた。
わけは、ある。
もう少しで現れるだろう親友を待っていたのだ。
そして少しすると予想通り親友、三成は廊下の角から現れた。

吉継は柱へ身を隠せば三成が近付いてくるのを待つ。
通り過ぎようとした直後、吉継は声を振り絞って彼の名前を呼んだ。

それに驚いた三成は振り返る。
そこには友人の姿があった。


「吉継、どうしたこんなところで?」

「今日の茶会、…君は……」

「ああ、実に盛大であったな。」

「そうじゃなくてっ…!!君は、僕の膿が入ったお茶を…」

「何のことだ?膿?」



三成のその態度に思わず吉継は掴みかかる。
そして思い切り睨み付けた。
思わずそれには三成も目を見開いた。


「誑かすの…?君は僕の膿が入ったお茶を飲み干したじゃないか…!!!」

「ああ…気にならなかっただけだ。」

「伝染ったらどうするんだい!!」

「伝染らぬ。」

「わからないじゃないかそんなこと!僕はっ…僕は君がこの病にかかったらと思うと…」

「伝染らぬと言ったら伝染らぬ。それにお前の膿ならなんら問題はない。」

「三成っ…君っていう子はっ…!」


殴られる、そう三成は思った。
だが吉継は思い切り三成を自分の懐へ抱き寄せたのだ。
あまりの急展開に三成は目をぱちくりさせている。
吉継はそんな三成の頭をそっと撫でながら抱きしめる力を強くする。


「紀之介…?」

「佐吉、…今はこうさせておくれ。伝染ったらごめん……」


ぎゅ、と力を込める。
三成もあどけなく吉継の背に手を回せば二人は自然的に座り込む形になった。


「佐吉、佐吉…君は本当に馬鹿だよ。」

「ああ。」

「佐吉、でも君はとても大事だ。」

「ああ。」

「僕は、君を好いている。君がいなきゃ生きていけないんだよ。」

「ああ。」

「佐吉、ありがとう…君を愛しているよ。」

「、ああ。…私も、紀之介を、…」



そのとき言葉を発せなくなった。
紀之介に、唇を押しつけられた気がした。






後半とか妄想\(^o^)/
紀佐は神!
好きで必死な紀之介と暢気な佐吉が好きです。はあはあ。

乱文失礼。

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