もしも...
□are you ready?
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「うっ…ぅ…」
「どうしたの?」
学校の帰り道。
たまたま部活がなかったので久しぶりに一人で帰っていると、学校の正門の前の公園で、泣いている男の子がいた。
面倒なことは避けたい方だが、放っておくことも出来ないので、道路を渡って男の子に駆け寄る。
「どうしたん?
どっか怪我した?」
男の子は首を振り、近くにある木を指さした。
見上げると、木にはボールが引っ掛かっていた。
「あぁ、あれか…」
「あれ、僕のボールじゃないねん…」
話を聞くと、クラスのいじめっ子のボールらしい。
いじめっ子と他の子たちがコンビニに行ってから、リフティングしていたら乗っかってしまったらしい。
「どうしよう…」
「、しゃーないなー!これ持っててくれへん?」
短くしたエナメルを地面に置き、男の子にブレザーを持ってもらい、あたしはフェンスによじ登った。
どーせあたしは女子校やし、この時間帯はあまり人は通らないのでパンツが見えたって気にしない。
あたしはフェンスの上に枝に捕まりながら手を伸ばした。
「ほい!」
「わあ!ありがとう!」
ボールを落としてやると、男の子は見事キャッチした。
「今度から気ぃつけやー」
そう言いながら降りようとした。しかし、足が滑り、あたしの体は真っ逆さまに落ちてしまった。
フェンスと言っても、上に立っているわけだから3mちょいはある。
「(あぁ…あかん)」
もうダメだと思い、目をつぶった。
男の子が少し微笑んだような気がした。