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□夢は所詮夢だとわかっているのに私はどうしてもあなたとの赤い糸を探してしまうんです。
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夜中、ドアのノックがなった



『修兵くん、起きてる?』


「景莉か。入っていいぞ」


妹の声は小さくて弱々しかった


「どうした」

『怖い、夢をみたの』

「一緒寝るか?」

『うん』


景莉を入れるために布団をあけた

高3と高1の男女が一緒に寝るなんて恋人同志がすることだ


『修兵くん』

「なんだ?」

『いきなりきてごめんね』

「いや、大丈夫だ。気にすんな」


妹が怖がってるならしょうがない。

滅多に人に頼らない妹だからこそ何とかしてやんねえといけねえと思う。


腕枕をしてやったら俺の手に景莉の指先が触れた


『腕、痛くない?』

「おう」

『良かった』


景莉は向こうを向いているから表情がよく見えないけど小さく震えてる


「どんな夢みたんだ?」

『とっても怖い、夢だったの』

「話せるか?」

『うん』



『あのね、心臓が右にあったの』






『鯨が陸を走ったの』






『人が空を飛んだの』


「・・・・?」


『ありえないでしょう?』

「あ、あぁ」





『それとね、修兵くんとあたしが恋人だったの』





『ありえないでしょう?』





そのとき俺は何も返せなかった
なにを返せばいいのか分からなかった
言葉を返す事に恐怖だった





『腕、痛くない?』

「・・・大丈夫だ」

『修兵くんに話したらちょっとだけ、気が楽になった』

「そうか・・よかった」








『おやすみ』

「おやすみ」











私の心臓が泣いているのです

(人が空を飛べばいいのに)










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