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□ちちんぷいぷい
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修兵のピアスに憧れた。

すごくかっこいいんだもん。

なんか、こう・・。キラキラしてて。


だから修兵みたいにしたい。

隣で雑誌読んでる修兵の耳を見た

綺麗な赤いピアスがついている


『やっぱあたしもする』


「・・・何が?」



『あー・・どこにやったっけ』


以前ピアスに挑戦しようと思ってピアッサーを買った

けど怖くて開けなかった。

どんだけ臆病なんだ自分


「なにしてんの?」

『探し物でーす』


修兵は興味なさそうに目を雑誌に戻した


『お、あったあった』


「だから何が」


『雑誌見るかあたしの独り言に付き合うかどっちかにしなよ』


「どっちも気になる」


『なにそれ。ほら、修兵見て』


「ピアッサーじゃん。開けんの?」

『開ける!決心したもん』


「痛いぞ」


『決心したのにやめてよ』


決めたんだからやってやる。

脅しなんて効くか。

何必要なんだろ・・。
一応、消毒液とティッシュかな。


『あー、緊張する』


テーブルに鏡を置いて深呼吸をした

床に座って鏡の自分を見る

鏡には自分とこっちの様子を見ている修兵が映った


『ちょ、修兵怖い』


「やってやろうか?」


『まぢ?うまい?』


「自分のやったからうまいぞ」


『痛いのやだよ』


「やさしくしてやるよ」


『なんかエッチだね』


「変態」

『電気はつけてね』


「早くすんぞ、耳出せ。耳」

『ん』


修兵は耳に消毒をつけた


『つめたい』


「我慢だ」



ガシャンという音が頭の中まで響いた


『・・・・痛い』

「そこまで痛くないだろ?」

『じわじわくる』

「慣れるから安心しろ」


『ふーふーして。自分じゃ届かない』


「左耳いくぞ」

『スルーですか』



『・・・痛い』


「痛くない」


『修兵うまいね。左右対称だよ』

「だからうまいっていったろ」



『両耳痛いよー』

「痛くない」

『いたいーいたいですぅ』


「うるせーな」

『じわじわくる痛みだね、これ』

「あー、それ分かる」



『痛いよー』


「ちちんぷいぷい痛いの痛いのとんでけー」






魔法の手を持つ彼氏


(あ、痛いの無くなった)
(まじかよ、最強じゃん俺)
(・・・やっぱ痛いわ)
(どっちだよ)








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