short

□曖昧ラブレター
1ページ/1ページ









今日もまた、下駄箱には一通のラブレターが入ってる


名前も書いていない。
毎回ただの一言


「俺が好きなだけ」


意味が分からない

でも、どこがくすぐったい


返事は返せない。


書いてる人は分かる。


彼だって絶対に私が知ってる事に気付いてる。

あたしは何も言わない。

だって、楽しいもの。
あなたがいつまであたしを好きでいれるか知りたいじゃない



『修兵、今日ねラブレター貰ったの』


「へえ、誰から」


『分からないの』

「なんて書いてた?」

『俺が好きなだけって書いてるの』

「ふーん・・」

『あたし的にあたしが好きなだけって返したいの』

「返せば良いじゃん」

『あっちがどれだけあたしのこと好きでいれるか知りたいもん』

「鬼だな」

『うるさい』



今日の放課後、また彼はあたしの下駄箱にラブレターをいれる。


『修兵ごめん、待った?』

「大丈夫、帰るぞ。靴履け」

『うん』


下駄箱を開けると一通のラブレター

修兵のいる前でそれを開けて読んだ


また一言。

しかし今回はすごく可愛らしい


"10年も100年も俺が好きなだけ"


『可愛い』

「へえ、良かったじゃねえか。差出人」

『ホントね』

「かえんぞ」

『うん』




『これ返事返そうかな』


「なんて?」


『あたしは修兵のことが好きなだけ』







俺もあたしもあなたが好きなだけ

(文具屋いこうぜ)
(何買うの?)
(レターセット、無くなったんだよ)
(そっか)












[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ