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□相合い傘の魔法
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『修兵、見てこれ!見て』



「んだよ、仕事中だっつーの」



『ここの髪うねってるー』



「あ、ホントだ。湿気か?」


『雨嫌い』


「大雨だな。つかお前帰んなくていいの?」


『今自分で大雨って言ったよね?それで私に帰れと?』


「送ってやっから」


『そんなに帰ってほしいですか、分かりましたよ。帰りますよー』


「かわいくねえーの」



『はやく送ってよ』



「わあーってるよ」






『あれ修兵傘は?』


「ふんっ。壊れた」


『今、折ったよね』


「折ってない」


『入りたいならいいなよ、いれるのに』


「折んなきゃよかった。これ新品」






『雨ひどいねえ』


「やんなるよな」


『かーえーるのうたがー』


「聞こえてこねえから」


『ノリ悪い』


「知ったこっちゃねえ」






『ぴっちぴっちチャプチャプ』


「『ランランラン』」




『おーっナイスボイス!』


「俺の美声にかかればこんなもんだ」



『若いもんには負けんぞよ』


「ババアか」


『あたしがババアなら修兵はおじいちゃまだね』


「ジジイじゃねえのかよ」




『肩くっつくね』


「そうだな」


『これ余所から見たらまさかのラブラブってかんじ?』


「そうだろうな」


『きゃーっはずかぴー』


「きも」


『まだまだ若いってことよ。私だけが。』


「俺もな」










できればこのままで

(ねえ、修兵)
(なんだ)
(とっくに通り過ぎたんだけど)
(先に言えよ)









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