short

□あまいマーチ
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荷物を箱にいれる手が止まる。



『(・・・移転か)』




初めてのことで少し楽しい気がするけど。

少し、寂しい。





「手伝ってあげようか?」


『いい。自分で出来る』


「んだよ・・・。・・・手伝ってやろうか?」


『いいって』


「んだよ・・・。・・・手伝ってやるよ」


『もう手伝ってよ』


「最初から言えって、まったく」


『しばきたくなってきた』




何で、心に穴が開いてるのだろう。




「おいおい。すげえなコレ」



『なに人のブラジャーみてんの!!』



「片付けてんだよ」



『・・・変態』




「おお、これもすげえ。ってか、お前どこの隊にいくんだっけ」


『んー?六番隊だけど』



「そうか」



『知らなかったっけ?』


「いや、知ってた。ただ今日の景莉ちゃんと話したかっただけ」


『?』


「明日には九番隊の景莉ちゃんじゃねえし。だから九番隊の景莉ちゃんと話してぇなって思ったんだわ」


『そんな良い笑顔向けないでよ、眩しい』


「もっと笑ってやるよ」



『サングラス必要だわ』




きっと名残惜しいだけ。

寂しいとか決してそういう感情じゃない、と思う。



「明日ここに景莉ちゃんいねえのか、寂しいな」



そんなカッコいい事いってもあんたさっきから片付けてるのあたしのブラジャーだから。



「腹減ったな。景莉ちゃん飯くった?」



『食べてなーい』


「よし、作ってやる」



『いいの?』


「今日は特別」



また笑顔が眩しい。
手伝ってくれたのはうれしいけど、ブラジャーしか触ってないよ修兵。


『おいしい』


「たっく文句いうなよ・・って、え?」


『おいしいよ』


「お前俺が作ると毎回文句いってくるじゃん。どうした。熱か?」


『違うよ』


今日はなんとなく『おいしい』といってやった。

言ってやったっていうよりも、言いたかったんだ。




なんなんだこれは、私は寂しいのだろうか。



こんなにモヤモヤしてるのはきっと夜だから。





「子守唄歌ってやるよ」



『うん』



「拒否んなよ、泣けてくる・・・って、え?」


『それ二回目』


「今日どうしたの?」



『特別、だもん。歌って修兵』


「おう」



すごく音痴だ。音外してるし・・。
でもまあ、今日のところは許してあげようじゃないか。









「・・・お、寝たか」






「はぁ・・・ちくしょう。今日のの景莉ちゃん全部反則だ」







「スリーアウトー、・・なんつって」












君はすぐに調子に乗るから







「景莉ちゃんあったけぇ」



『・・・・』




「抱き締めて寝よ」





『(・・・熱い)』





明日の朝市に『変態!!』っていってやろう。









寂しがりな君のことだから



(きっと明日から彼の寂しがる日々が続く)









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