耽溺クライシス

□マニキュア
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伝令神機が鳴った。

かけてきたのは景莉だった


『今すぐ来て!』


煙草嫌いの景莉の前では吸えないから九番隊舎からだいぶ離れたところでふかせてた

慌てて煙草を消した



「なんかあったのか?」


副官室に入ったら景莉がいて
足をのばして「おそい」と不機嫌気味に言ってきた


「一応急いだんだけど」


『おそいですぅ』


「なんかあったのかよ」


俺が座布団に腰をおろした途端に景莉は赤いマニキュアを見せてきた


「・・・マニキュア?」

『どっからどうみてもマニキュアだよ』

「これが・・何?」

『塗って』

「今すぐこいってコレ塗れってこと?」

『そう』

「気抜けたわー」

『悪かったわね。修兵に塗らせたかったんだもん』

「お・・おおォ」

『足ね』

「分かったよ」


ちょっとドキっときた。
しょうがねえな、塗ってやるか。


景莉は自慢気に足を出してきた

「んだよ、そのどや顔」

『綺麗な足でしょう?』

「そーですね」

『もうちょっとノろうよ』

「すいませんねえ。つか赤かよ」

『だめ?かわいいじゃん』

「血豆みてえじゃね?」

『嫌なこといわないでよ。鳥肌たった』

考えると俺まで鳥肌立つわ。


「信号機の真ん中だと思って塗るよ」

『真ん中って黄色だよ』

「・・・・・・右」

『リアルに間違えて恥ずかしいのね』

「うっせ」

『ポストを塗り替える感じに塗って』

「高度な技だな」

『もーっ、うだうだ言ってないで塗ってよ』

「わあーったよ」

『ん?ちょっとまって』

「ちょ、今いい感じに燃えてたんだけど」

『煙草臭い』

「あ、」

『ちゃんと消したの?』

「急いでたから匂い残ってるかも」

『わー、最悪ぅーっ。やだあ』

「しょうがねえだろ。景莉が焦らせるんだからよ」

『それでも匂いは消してよ』

「時間ねーっつーの」

『くさいよー』

「丁寧に塗ってやるから我慢しろ」

『やだーっ。臭い男に塗られるなんて死んだ方がマシ』

「お口チャックしような」

『消臭力もってきてよ』

「そこまでかよ」

『甘い匂いする煙草とかないの?』

「まずそうだな」

『それなら許すのに』

そんなのあるわけねえだろ


「あとでちゃんと匂い消すから今は我慢しろって」

『んなーっ』

「バカ、暴れんな」

『バカじゃないもんバカ』

「バカいうな」

『そっちから言ったんじゃーん』

「わざとはみ出してやる」

『それだけはだめー!』





レッドネイルの誘惑

(はい、できた)
(はい、ファブリーズ)
(いじめ?)







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